「模様」と聞いて思い浮かべるモノはなんでしょうか。
幾何学模様とか民族文様とか、やはり何かの綺麗な柄だったりしますよね。
最近はウィリアム・モリスの描いたデザインも人気があるようで、模様を描いてみたいと思う方も少なからず増えてきているのではと感じます。
そんな時、こういう模様が描きたいけどどこからどう描けばいいのかわからない、と思う方もいるかもしれません。
模様ってパッと見、複雑そうに見えますので。
しかし、ある程度の法則を理解していれば、複雑そうに見える模様も実はシンプルな組み合わせでできている事が分かります。
その模様の仕組みさえわかればコツを掴んだも同然なので、自分で作る(描く)こともさほど難しさを感じずにできるようになります。
私は誰から指導を受けるわけでもなく、世界中にある模様を本などの資料を見ながら真似をして描くことで自分なりに独学で模様制作の技術を習得していきました。
じっくり見てどういう仕組みで構成されているかを考察し、それらを真似しながら描きまくる。
何に使うわけでもなく、自分だけの創作模様というものを作り続けてきました。
そしてそれを”絵画作品”としてきちんと制作・完成させる道を選び、現在の作家活動にいたります。
ただ作家活動を始めてみて、日本では”模様制作”というものがかなり限られた制作方法でしか伝わっていないのも分かりました。
数学的な考え方や構成の話などの論理的な内容が多く、発想から形にするまでの創作面での内容はほとんど出会ったことがありません。
もっと簡単に柔らかく考えられたら親しみやすく面白いものになるかもしれないと感じ、だったら自分から発信しようとこのブログを始めました。
模様制作にハマったきっかけ。
私が模様制作にのめり込んだきっかけは、中学生のときの美術の授業です。
木製フォトフレームを作るという授業があり、フレームだからという安直な考えで洋画の派手な”額縁”の模様を真似して作ってみようと考えました。
それっぽくなりそうな模様を何かから真似して描き、曲線や図形の組み合わせなどで意外と自分でも
描けるもんだといい気になったのを覚えています。
数年経ってからそれを見た時は、あまりの下手さにびっくりしましたが。笑
しかし当時はその出来栄えに、素人の自分でもできたという事が非常に嬉しく、けっこうな達成感がありました。
それから模様を描くことに興味を持ち、独学で描き始めます。
またそれまで私は、絵を描くとは漫画やイラストを描く事だと思っていて、友達とよく描いては交換したりとその程度のものでした。
しかしこれもまた中学生のときに美術部に入部したところ、そこに本格的に絵画教室で絵を学んでいる先輩がいました。
リアルに絵を描く人を初めて間近で見たのをきっかけに、イラスト以外の世界をまともに知るようになり、絵や作品制作に対する自分の考え方が一気に広がったのを覚えています。
そんな時に夢中になって模様を描いたことも重なり、自分のオリジナルと言える作品を模様をベースに作ってみようと考え始めました。
とにかく全ては中学生の頃始まったような感じです。
真似して描き始めた模様の面白さ。
模様を作る・描くというのは、コツを掴んでしまえば結構カンタンです。
私は当時から考えるよりやってみよう精神が強かったので、、模様の描き方の資料を探すより、すでにある模様をまず真似して描いてみました。
線の太さや図形の使い方、またそれらの組み合わせで動物や植物などの何かに見立てる方法など、様々な模様を参考にしてそれぞれの特徴を見つけては真似して描きました。
そして模様を作るコツというのを独学で習得していきました。
特に、線対称や図形の組み合わせ、コピー&ペーストを繰り返して出来上がる模様が好きでコンパスと定規などを駆使しながら、ひたすら一人で描き続けていたのです。
こうやって私は、真似して好きに描くというスタイルで描きまくっていたので、当時はこれが正しい描き方だとか、絵だのデザインだのと考えることもなかったです。
ですので、一般的な世界共通の模様制作の法則があるということも実は作家活動を始めてから知りました。
そうなんです、実はあるんですよね。模様制作にもデッサンのようにルールというものが…。
つい最近まで全く知りませんでした。笑
ところで、模様って何?
ここで今更ですが、「模様」について簡単にご説明します。
「一般的な模様の描き方」とお伝えしたところで何が一般的で何が特殊なのかも世間には特に浸透していないので、まずは「模様」がなんなのかということをお話したいと思います。
「模様」とは、ずばり装飾です。
ネットや本で調べると、「模様」とは『織物・染物・工芸品など、対象物が”物”とはっきりしていて、それに装飾を施す絵や形』と言ったような説明がなされています。
また「文様」でも調べてみると、対象物が”物”という点は同じく、その表面に装飾された図形であり反復・繰り返しによって構成されるものを指すことが多い、ということだそうです。
水面や木目などの、何かの表面に現れるものも模様と言いますが
描くという点で見てみると「模様」は絵画とは違い、描かれる(施される・装飾される)対象物が生活に関わる道具や建造物、またタトゥーで言えば人体にあたり、その目的が”装飾”と明確にあるものとなります。
なので、一般的には「模様」は”絵画”のような主役ではなく、”装飾デザイン”という、主役を引き立てるためのもの、ということになります。
”デザイン”という事は、一般的な制作の法則があるというのも納得です。
”装飾デザイン”として描かれることが一般的で、その中でも特に完成度が高く、発祥の地の文化を色濃く反映している模様というのが民族文様や伝統文様として現代に脈々と受け継がれています。
ただここまで書いておき無責任かもしれませんが、そういった概念的なことはあくまで一般論ですので
模様が絵画かデザインかなど実際どう捉えるかは人それぞれ自由だと思います。
実際私も絵画作品として模様を描いていますし、イスラムのモスクの装飾やポリネシアンタトゥーなど精巧な技術によって生まれた模様は、もはや単なるデザインの域を超えています。
それこそ、主役級の装飾デザインです。
10年以上前ですが、スペイン旅行でアルハンブラ宮殿を訪れた際、宮殿全域に施された一寸の狂いもない見事な装飾デザインのレリーフを直で見て、人間業ではないその完成度の高さに涙が出たのをよく覚えています。
今でも、自分の人生で一番感動させられた作品だと言い切れます。
なのでそれらの完成度の高さから芸術と称賛する人も大勢いますし、モノとして素晴らしければその呼び方なんて正直なんでもいいと思います。笑
デザインか絵か芸術か装飾かという、あまり面白くもない点にこだわり過ぎず、まずは描いてみて楽しみながら模様に触れていって欲しいです。
真似して自分の技術にする方法。
当ブログで既存の模様(民族文様など)については、説明や紹介よりもそれらの構成や特徴を私なりの解釈をもとに、真似して模様を描いてみる実践ワークをメインにお伝えする予定です。
そして真似で身につけた模様の描き方を、自分の創作技術にする方法までをお伝えしたく考えています。
…と言いたいところですが、真似からでも当然描ける人は描けますがもっと簡単に模様が描ける方法というモノがあります。
それについてをまずは記事にしていきますので、ご興味あればぜひ「模様の描き方」から他の記事もご覧いただければと思います。
世界中の様々な模様についての歴史やその背景などについては、すでに書籍やネットで詳しく説明されているものが沢山ありますので、そちらの方が参考になること間違いなしです。笑
もちろん模様を見る上で多少はご説明しますが、私は歴史などの側面については専門家ではないですし、見るより描く専門なので、描くことをメインに発信していきます。
あまりみかけることのない発想面での考え方なども交えていこうと思いますので、ご興味ある方はぜひご覧ください。