
今回はオリジナルキャラクター『ジオメトリーズ』の誕生ストーリーを、改めてご紹介させていただきます。
『ジオメトリーズ』は2023年11月のデザインフェスタvol.58で初お披露目しました。

単純な図形の頭を持った二頭身のマスコット、デザフェスなどのイベントで出すたびに初見のお客様から「何者?」「どういうコンセプト?」「なんで図形なの?」などなど、ご質問を多くいただいております。
ここに至る経緯をかいつまみながら説明してきたのですが、やはり一度しっかり説明させていただきたいなと思い、今回ようやく記事にしました。
思いつきといえば思いつきですが、実はしっかり誕生に至った経緯があります!
▼Instagramではそれを簡単にイラストにしてまとめています
これはイラストでわかりやすく簡潔にまとめたものなので、改めて真面目に(笑)、自分の作家活動の話とともにジオメトリーズがどのように誕生したのかを記事にしました。
その1:可愛いモノを創りたい
一番始めのきっかけは、自分の趣味である『可愛いモノを集めること』です。
その趣味は創作とは全く関係のないものだと思っていました。
しかし作家活動が軌道に乗らずネガティブになっていた頃、その気持ちを払拭してくれたのがその趣味で、当時はカプセルトイに熱中していました。
その時気がついたことがあり、それこそが自分の創作物に足りない2点でした。

まず1点目、それはカプセルトイなどを買うとき自分の中に湧いてくる「可愛い!欲しい!」という強烈な物欲です。
そして2点目は、それらを実際手に入れた時の何事にも代えがたい満足度の高さです。
今まで意識していなかったけれど、誰かが作ったものを自分で稼いだお金で手に入れるという行為は単純にすごいことなんです。語彙力が足りないんですが、、
特にアート作品などの生活必需品ではない物だとより一層。普通は買わないんですよね。
それをわざわざ買うという行為・・・それは、お客様自身が自分のお金で「実際に欲しい物そのもの」だけではなく「自分のお金で欲しいものを買ったという満足感」この2点を得ているのかもと、自身の経験から感じました。
私の作品がなぜ誰にも買ってもらえないのかを考えたとき、私は購入する方達のことを全く考えておらず、自分の欲を満たすことしかしていないことにようやく気づいたんです。

自分が描きたいように描く作品は自分の欲を満たすものでしかなく、「欲しい!」と思えるような、購入者の欲を満たす物ではなかった。
それに気づいたとき、自分自身は何を手に入れると気持ちが満たされるかを考えました。
それが、可愛いものを集めるという趣味だったのです。
そう分かった瞬間に、私は幾何学模様の作品に目をつけ始めていました。

今まで「可愛い」と思い手に入れてきたモノの中に、なんでもないモノに目をつけただけで可愛く見えるという共通点があったので、試しに自分も真似をしてみたのです。
ただ目をつけただけですが、自分の中では何か手応えを感じていました。
そして、ゆくゆくはソフビフィギュアやカプセルトイになるような商品を作りたいという思いが湧き、キャラクターを考え、『ジオメトリーズ』を創りました。

その2:模様って人気がない!見てもらうための工夫
もう一つの理由は、模様だけの作品では世間に見向きをされないという現実です。
もともと模様画を昔から描いており、それを本格的にもっと描きたいということで30歳で脱サラし、絵描きとして色々な活動をしてきたつもりですが、実際感じたことは”模様を描くだけでは埒が明かない”ということです。。
実力不足の言い訳に聞こえるかもしれませんが、客観的に見ればアートでもなければ装飾デザインでもないという中途半端な位置にいるのは事実です。
そもそも模様は何かを装飾するための“デザイン”なので、模様だけでは作品という認識が生まれにくい点があるように感じます。

模様を描くことが楽しい。それだけで続けてきた制作ですが、いざ作品として展示や販売を始めるとアート作品として理解されにくいことを痛感しました。
海外では模様だけで作品を作るアーティストも多くいるので自分の努力不足は勿論ありますが、右も左もわからない作家活動の中でその状況が続くと、制作意欲を削がれる以外何でもありませんでした。。
人物や動物のイラストだったり絵画であれば風景画・人物画など、絵と一言で言っても様々なカテゴリー・ジャンルがあるわけですが、私の場合は作品として認知されやすいカテゴライズから完全にはみ出してしまっているのです。
特に日本では、カテゴリーやジャンルという区分けをして共通認識を一致させようとする傾向が強いように感じます。創作活動をしている方なら特に分かることではないかと思います。

制作を続けるにはお金が必要ですが、模様を描いてもお金にならない現実を知ると、私は分かりやすくネガティブになり制作意欲も落ちました。笑
しかし、脱サラしてまで作家活動を始めたので簡単に諦めるわけにもいかず、どうにかして自分の作品を目に留めてもらう方法はないか模索しました。
そのとき行き着いたのが『ジオメトリーズ』です。
単純な図形の頭を持った二頭身のキャラクター、どうせならその図形の頭に得意な模様を描けばいいのではと考えました。
以前友人とグループ展をやったとき「立体物に模様を描いたら面白そう」と言われたことを思い出したのです。
『ジオメトリーズ』も最初は平面イラストでしたが、始めから「いつかは立体物にしたい」と考えていたので、粘土を買ってきて試しに作って描いてみたのです。

「キャラクター」というわかりやすいカテゴリーで模様を活用でき、さらにオリジナリティを生み出せるという一石二鳥の案が降りてきたのです。
その3:現実的な創作活動の目標
最後にこれは後付けですが、創作活動に現実味を持たせてくれたのが『ジオメトリーズ』です。
どういう事かというと、ジオメトリーズを生み出すまで、私ははっきり言って目的のない創作活動をしていました。
絵を描きたいという気持ちだけで脱サラし、何もわからない作家活動を右往左往しながら続ける日々。そこに足りなかったのが現実的な目的や目標でした。
絵を描く。その先にあるのは作品の販売なのか、それ以外の何かなのか・・・
私はその最終的な目的・目標をはっきり決めずに作家活動を始めたので、何をどうすればいいのか毎日悩んでいました。
”絵でお金を稼ぐ”というのはざっくりとした目標すぎて、具体的にどうすればお金を稼げるのか、それが分からずフラフラしていましたね、、
しかし『ジオメトリーズ』を生み出してから、このキャラたちが自分に現実的な目標を与えてくれたという結果になりました。

もちろんお金儲けのためにキャラクターを作ったわけではありませんし、稼ぐことが全てではありません。
しかし日本国内で創作活動をすると決めている以上お金(収入)も絶対必要ですから、どの業界なら最大限の力を発揮できるか見極める必要はあったわけです。
日本は漫画やアニメやゆるキャラなど、キャラクタービジネスがかなり活発だと感じています。
これは個人的な感覚なので語弊があるかもしれませんが、アート業界よりキャラクタービジネスの方が未経験の自分には入りやすい感じは実際ありました。

作品を見てもらうことすらままならない現状を変えたい、、
その一心から生まれた『ジオメトリーズ』は、まさに自分が好きで収集しているカプセルトイやソフビフィギュアなど、その域に辿り着くことが目的であり目標となったのです。
自分自身もワクワクする作品を!
『ジオメトリーズ』が生まれて、早いことに2年以上経ちました。
デザフェスなどのイベントでは売れたり売れなかったりと、ジオメトリーズへの反応はまだ変動が激しいですが、今までの絵画だけの活動と比べると「自分でもワクワクしながら創っているから頑張れる」という気持ちが強いです。

売れていない状況でも自分が楽しめる作品なら続ける意欲は湧くもので、絵だけの活動の時は”売れない・見てもらえない”が原因で分かりやすく落ち込んでいました。
続けるのも難しくなった時期があり、絵だけだとどうしてもワクワク感を持続させることが難しかったのだと思います。
創作活動を続けられるかどうか…それはおそらく、自分で生み出す作品自体を自分が好きかどうかが非常に大事なんだと気づきました。
そして、ジオメトリーズに一点集中の日々が続いたので、今は逆に以前の模様画もまた作りたいなと思えるようになっています。
2つ以上のことを同時進行する方が、飽きっぽい自分の性格に合っているようです。笑
今後のジオメトリーズは…
現在ジオメトリーズはデザフェスなどのイベントでグッズ販売がメインですが、キャラクター一人一人の個性を発揮するには「マンガ」だと考えています!

SNSを中心にジオメトリーズたちのマンガを投稿していく予定です。
それぞれの性格もしっかり設定しているので、彼らの日常などをマンガにしてより一層興味を持っていただく方を増やしていくことが今の目標です。
今までグッズ制作に追われて全く出来ていなかったマンガ…ネタだけは結構溜まっているので頑張ります。笑
またもう一つ、大きめのフィギュアを販売できる商品にすることも新たな目標です!

やはりフィギュアは、大きめの方が「欲しい」と思っていただけるお客様が多いことを知り、粘土なのかソフビなのかまだまだ試作段階ですが、いつかは販売したいと考えています。
ぜひ今後の「ジオメトリーズ」にご期待ください!